胃腸などの体内クレンジングによくある4つの勘違い

健康意識の高い人の中で最近、体内クレンジングが注目されているのは一体なぜでしょうか?スーパーマーケットからガソリンスタンドなどの至る所で、解毒作用が高く、減量や筋肉増強にも効果的な商品として、市販の飲み薬や粉薬、お茶、サプリメントが大々的に宣伝されています。また、グリーン・スムージーを日常的に飲むことの危険性がきちんと実証されているにも関わらず、多くの人がジュース・バーで行列を作ってスムージーを日々飲んでいます。

体内クレンジング推奨派は、体内クレンジングが洋の東西を問わず古くから定期的に(多くは季節ごとに)実践されている健康習慣であると主張します。確かにこれは事実です。しかし現在広まっている体内クレンジング法は伝統的なものとはかけ離れたものであり、長期的なメリットがあるかは疑わしく、やり方にも危険性があります。

私が初めて、体内クレンジングの惨状を目の当たりにしたのは大学時代のことです。体重の増減を最小限にとどめ理想の体重を維持する方法として、友人が毎週末に便通促進剤を利用していたのです。健康的な肌を維持し、極細ジーンズをはくための最高の方法だと友人は考えていました。

確かに体内クレンジングはお腹をへこませ、吹き出物を無くすのには役立ちます。しかしこれは、健康的で栄養満点な食事と、有毒物質を排除したクリーンな生活習慣とともに行うことが必須であり、そうでなければ体力を極度に消耗させるだけです。ハーブか化学物質かに関わらず、便通促進剤に頼っている限り、調和のとれた生活を維持することはできません!

夢に見るきれいな生活環境はどこにもありません

私たちが非常に汚染された環境で暮らしていることに疑いの余地はないでしょう。昔の人たちは、食べ物や水道水、または室内に潜む化学物質など心配する必要が全くありませんでした。まさに私たちが夢見るような、非常にきれいな環境で暮らしていたのです。

一方、我々の生活環境はどうでしょう?例えば、無数の工業プロセスから放出され人体に悪影響を及ぼす有害物質、ダイオキシン。体内組織に留まり、なかなか取り除くことのできない環境汚染物質、ダイオキシン。このダイオキシンがなんと北極でも発見されたというのです。太平洋の真ん中では、テキサス州の約2倍もの大きさにまで膨らんだ廃棄物の巨大な渦がいまも毎年、大きくなり続けています。

このような環境で暮らす私たちにとって、ゆっくりコツコツ続ける体内クレンジングこそが大切だと言えます。全ての有毒物質から完全に逃れることはもはや不可能であり、唯一できるのはそれらとの接触を最小限にとどめることだけです。

慢性疾患や退行性疾患の改善・解消のために、体内クレンジングとデトックスを取り入れることは非常に重要であり、しばしば必須でもあります。また何か不調を抱えていない場合であっても、健康維持のために体内クレンジングとデトックスは大切です。しかしそれが最終的に真の健康を届けてくれるものであり、間違っても健康を阻害する習慣にならないよう、注意する必要があります。

体内クレンジング法を選ぶ際は細心の注意を払わなければなりません。ワイズ・トラディション*1に「体内クレンジングにまつわる勘違いと危険性」という記事を寄稿したジョン・コジンスキ氏によれば、「いま流行りの体内クレンジング法は、良く言えば無意味、ものによっては危険なだけ」とのこと。

*1 ウェストンプライス財団が発行する季刊誌

これがクシ・インスティテュートで約30年にも及び、間違った体内クレンジング法や食事制限が原因で生じた悲劇的な状態を目の当たりにしてきたコジンスキ氏の意見なのです。体内クレンジング法を選ぶ際に最新の注意を払うのは当然のことでしょう。

またコジンスキ氏は、以下のような体内クレンジングにまつわる勘違いについても説明してくれています。でもこれらは現在も、健康意識の高い人たちの間でまことしやかに信じられ「健康業界の第一人者」と呼ばれる人々によって広められているものなのです。

勘違い①:肉は大腸を詰まらせる

極端な体内クレンジング法によくある間違いが、一つもしくはそれ以上の食品群を全く食べないようにすることです。

その矛先を向けられがちな食品が赤身の肉です。全ての肉が対象になることさえあります。

でも真実は異なります。食の第一人者達がすぐに非難したがる赤身の肉はとても消化しやすく、植物性の食品よりも断然消化しやすいのです。肉が消化器官を詰まらせることなんてありませんし、ましてや大腸を詰まらせるなんてことは絶対にありません。これを馬鹿げた考えだとお感じの方は、肉食動物と草食動物の違いを考えてみてください。草食動物は複数の胃を持っています。しかも種によっては、食べ物を十分に消化するためにゆっくり何度も反芻を繰り返します。一方、犬は1パウンドものお肉をがつがつ噛んだ後、一度か多くても二度で飲み込んでしまいます。それでも何の消化不良も起きません。一つの胃だけで簡単に消化できてしまうのです。

栄養豊富なタンパク源である肉は胃酸の分泌を促します。きちんと効率的に消化するためには胃酸が不可欠です。穀物や大豆・ひよこ豆といった豆果、野菜類など、タンパク源としての栄養価の低いものを食べても、肉と同程度の胃酸は分泌されません。この不十分な胃酸分泌こそが、植物性食品を中心とした食事法を推奨する人たちの間で消化器官の不調が頻繁に見受けられる理由なのです。こういう方はむしろ、多少なりとも肉を食べることが大切で、肉を避けるというのはもってのほかです。

肉が大腸を詰まらせるなどというまやかしに振り回されてはいけません。植物繊維こそが、大腸で腐敗・発酵し、病原菌の餌になってしまうのです。

勘違い②:食べ物の組み合わせに注意すべき

食べ物の組み合わせに注意すべきという考え方は仮説でしかありません。この仮説の基になっている考え方は、食べ物によって消化に適した条件が異なるため、条件の相反する食べ物を一緒に食べると非効率な消化になり、消化不十分な食べ物が胃や腸で腐敗するというものです。

この仮説によれば、特に避けるべき食べ物の組み合わせは、肉などのタンパク質と穀物やイモ類といったでんぷん質の食べ物だそうです。

しかし、この仮説は科学的にきちんと証明されたものではありません。消化器官の体内クレンジングに関する考え方として、どうしてこのような仮説がまかり通っているのか本当に分かりません。1920年代にウィリアム・ヘイ氏がこの仮説を初めて取り上げ、その後1980年代にフィット・フォー・ライフという本でも再度取り上げられましたが、そこには何の科学的根拠も示されていないのです。

伝統的な食文化を踏まえれば、食べ物の組み合わせなどという考えが間違いであることは一目瞭然です。歴史的に見て、世界中のどこであっても、でんぷん質の食べ物と肉は一緒に食べられています。例えば、私の家系のルーツである北欧。北欧ではサワードウ・ブレッドと厚切りの生乳チーズがお昼ごはんの定番です。それが日暮れまで農場で働くためのエネルギー源だからです。決して、消化を停滞させ昼寝するためのものではないのです。

また仮に食べ物の組み合わせになんらかの意味があるとしたら、名著「ニュートリション・アンド・フィジカル・ディジェネレーション」で取り上げられているような、健康的で退行性疾患など存在しない社会でも、この考えが取り入れられているはずです。

勘違い③:アルカリ性食品を食べる

体内クレンジングのためにアルカリ性食品を食べるという根拠のない仮説が、騙されやすい多くの人の健康を阻害しています。

血液をアルカリ性に保つためには、大量のグリーン・ジュースやその他アルカリ性食品を摂取すべきという考えに基づいた仮説です。

一見説得力があるように聞こえますが、身体の仕組みの基本を踏まえれば、それが勘違いであることは明らかです。血液のphを決めているのは腎臓であり、食事ではないからです。

さらに言うなら、尿や唾液のphを測っても、血液のphを正確に把握することはできません。クリス・クレッサー氏がこのことに関する科学的実態をこれらの記事(2)で明確に説明してくれています。

勘違い④:カロリー制限する

断食、またはグリーン・スムージーや液状の代替食品(例えば、SlimFast)を使ったカロリー制限によって、体内毒素のデトックスや減量を促進するという体内クレンジング法も、広く長いこと信じられてきました。

でもこれは勘違いです。断食やカロリー制限が体内毒素のデトックスにつながるなんてことはありません。ストレス・ホルモンの分泌が最高潮に高まり、頻繁な排泄行為を含む生理現象が一時的に促進されるだけです。しかしこのストレス・ホルモンの分泌増も長くは続きません。そして最後は、この代謝異常に身体が慣れてきて、コジンスキ氏は言うところの「ストレス・ハネムーン」が終わるのです。

継続的なストレスに晒されることで、断食やカロリー制限からストレス・ホルモンの追加分泌できなくなるケースもあります。この場合は、排泄行為やその他身体機能が弱まる一方で、体内毒素が増えて健康状態が悪化してしまいます。

カロリー制限による体内クレンジングは絶対にしないでください。これは代謝機能をさらに損なわせ、健康状態を悪化させるとともに、ストレス・ホルモンの異常な上昇さえ引き起こしかねません。こんなことをする必要は全くありません。

ゆっくりコツコツ続ける体内クレンジングが最適

体内クレンジングにまつわる危険な勘違いが横行しているからといって、体内クレンジング自体が悪いわけではありません。前述の通り、身体の不調を解消し健康状態を保つためには、ゆっくりコツコツ続ける体内クレンジングが必要です。そんな体内クレンジングのとっかかりとして、以下にいくつかの方法をご紹介します。

  • 栄養豊富な食事:身体の求める栄養素を全て供給することが、自然なクレンズに必須です。身体を形成する栄養素さえあれば、それをどう使うかは身体が知っています。動物の骨でとったスープ(ボーン・ブロス)発酵食品を特に多く摂るといいでしょう。
  • :エプソムソルト風呂、りんご酢風呂、海水塩&重曹風呂は代表的なデトックス入浴法で、定期的に浸かることで皮膚からのデトックスを優しく助けてくれます。
  • デトックス・パック:人間の最大臓器である皮膚からのもう一つのデトックス法。ゆっくりと体内毒素、特に重金属を取り除きます。
  • 浣腸(コーヒー、真水):ここ数年で復活を遂げた歴史あるデトックス法。自然ながん治療の方法として特に注目されています。
  • :リンパに作用する最も優しい運動がおそらくトランポリン。重力の力を借りて、ゆっくりとリンパから毒素を排出していきます。
  • ジュース:ナターシャ・キャンベル・マクブライド医学博士曰く、効果の実証された優しいデトックス法。ただし、過剰な取り組みや栄養豊富な食事なしの取り組みは長期的に身体を弱めるため禁物とのこと。
  • 珪藻(けいそう)土:専門家による毛髪等のテストにより、重金属が健康の阻害要因になっているかを判断できます。しかし高価なテストの代わりに、一日一回、食用が認められている珪藻土(体重100パウンドあたり、テーブル・スプーン一杯)をコップ一杯の水に混ぜて飲むことで、消化器官から重金属をデトックスできます。

ご存知のこととは思いますが、妊婦の方は体内クレンジングを控えてください。また授乳中のお母さんやお子さんが体内クレンジングする場合は、専門家のアドバイスの下で行ってください。ただしその場合も、最も優しく基本的な体内クレンジング法である、栄養豊富な食事は欠かせません。

その他、健康的なデトックス法に関する記事

体内クレンジング時の好転反応を回避する7つの方法

妊活時の優しいデトックス法

キャスター・オイル・デトックス

自然美をもたらす毛髪デトックス法

出典: ヘルシー・ホーム・エコノミスト

原文筆者: サラ・ポープ